僻地に生きる歯科医
カード型保険証をめぐって・・・
近健康保険証をカード化した自治体や保険組合が多い。なかにはカッコいいカードもあるが、ダサ〜イ!カードも散見する。歯科国保のカードはピンク色だが、風水では、歯科にとってピンクはダメ色になっている。迷信といえば迷信だが、個人的には縁起の悪いことはできれば避けた方がいいのではないかと思ってしまう。

の診療所では、白衣での外出を厳禁としている。しかし、当地では医科・歯科問わず平気で外出させているところが多い。「医院の宣伝になるから」と、うそぶいている先生もいるぐらいだ。白衣姿でスーパーなどで平然と惣菜を買っている人の財布から、あのピンク色の保険証がチラッと見えた時のいいようのない不快感は、私だけばかりではないと思うのだが。

康保険証がカード化になって以来、健康保険証を持ってこない人がなぜか増えてしまった。全員が1枚の保険証カードを持っているハズなので、「次回必ず持ってきてください」と言って健康保険対象として治療する。ところが、翌日保険証カードを持ってくる方は皆無で、1回キリで受診を中断する患者さまが続出した。その後連絡しても持ってきてもらえず、中にはかえって逆ギレされたこともあった。

れをご覧の方の中には「それでは、初診時に10割相当分を頂いて後で清算すればいいのでは?」とお思いの方もいらっしゃると思う。しかし、このようなタイプの患者さまは、「急いできたのでサイフをわすれた」方が多いのである。そのため保険証を確認できない上に、一部負担金ももらえないケースが出てくるのである。

れと転職などで保険証が変更になった時など、カード化してから保険証の回収が非常に悪くなった。そのため、毎月のカード確認を、より慎重にやらなくてはいけなくなったのである。もし忘れた場合には、「保険証の記号や番号は変わりませんか?」と尋ね、その結果をカルテに記載しなければならないことになった。

ったことは、事務上のことだけではない。患者さまの既往歴の確認などに支障がでてきた。当地では、医療機関を受診する際、自分の病気を隠す傾向にある。そのため、問診票に平気で虚偽を記載する方が少なくない。「以前来た時に言った!」「歯医者ごときでめんどうだ!」など、勝手な理由をあげる。中には「こんな面倒な歯医者はごめんだ!よそへ行く!」と言って、本当に転院した方もいらっしゃったのだ。かつては、保険証の裏側にこれまでの通院履歴が記載されていたので、かかった医院の押印が患者情報として大切なヒントになっていた。これがカードでは出来なくなってしまったのである。最近では、若い人でも生活習慣病を持っている方が多いので、今まで以上に注意が必要である。

れだけではない、男女同じカードであるので、母親がしばしば兄弟姉妹間で間違えたカードを持ってくることがある。小さなお子様である場合、カードがないと一部負担金が計算できないケースがあるので困ってしまう。
しかし、どういうわけか、老人がカードを間違って持ってきたケースは今のところ1件もない(なぜだろう?)。

た、まれに、コピーしたカードで受診しようとする方がいらっしゃる。1人に1枚なのにどうしてコピーする必要があるのだろうか?その方に「なぜ、原票を持ってこないでコピーを出すのか?」と聞いてもハッキリとした理由がかえってこない。

険証カードの最大の問題点は、保険証カードを受付で「渡した、受取っていない」といった類のトラブルが発生することである。某医科の診療所では毎月数件あるそうだ。サイズが小さいので、すぐにサイフの中にしまってしまうからだそうである。

場を知らない役人の発案で、現場が混乱するのはこれからも永遠に?といってもよいくらい続くのではないかと思う。これらの危惧に共通していることは、患者さまや医療機関が不在で、あくまでも役所の効率第一で進められている点であり、私はこのことを大きな問題であると思うが考えすぎだろうか?

近、クレジットカード会社が「クレジットカード付健康保険証」なるもののパンフレットを持ってきた。この方式では、カード会社が一括して一部負担金を代行して支払いをするので収受もれがないそうだ。

ころが、これは大きな問題を抱えている。問題は、クレジットカードを持てない人がこの世の中には存在するということだ。こうなると、クレジットカード会社によって患者さまが選別される時代がやってくるような予感がする。そういえば、先日韓国のソウルで、最新式の歯科医院でとんでもないしかけをみつけた。なんとその歯科医院は、クレジットカードを使ってドアを開ける方式になっている。クレジットカードがないと、医院のドアは開かないのである。つまりクレジットカードを持てないような患者さまは、お断りなのである。願わくば、日本では、このようなことにならないことを切に願っている。
<2007.12.5>

INDEX