一昔前、高齢者の社会的入院が問題になった。社会的入院とは、医学的に入院が必要ではないのに、家族などが受け入れを拒否してやむをえず病院に入院している状態を言う。私個人は「社会」が原因ではなく、「家族」が問題なのであると思う。似たようなものに、不潔な義歯によって起きる「義歯性口内炎」がある。義歯が当るなどの問題があればいいのだが、不潔な義歯でこういった疾患を起こす場合、本来なら「不潔性口内炎?」とですべきだろうが、なぜか義歯のせいにされてしまっている。
ところで今まで社会的入院(所)といえばほとんどの場合、「家族(特に子供たち)の受け入れ拒否」がその理由であった。ところが最近では、配偶者の受け入れ拒否が目立ってきた。困ったことに受け入れ拒否の配偶者に説得をしても、特段受け入れ不可能な理由がない場合がしばしばあり、「とにかく、受け入れるのはイヤ!」と感情的なコジレになることが少なくない。中には愛人がちゃっかりいて、これで拒否していたケースもあった。 話は変わってこのところ、ケアーハウスなどでは夫婦部屋は以前ほど人気がないそうだ。また施設側としてもあまり積極的には薦めないこともあるそうだ。というのは夫婦の内のどちらかが亡くなると、夫婦でなくなるので夫婦部屋を出なくてはいけない。そうなると場合によっては、施設そのものを出なくてはならないこともある。もし単身でも夫婦部屋を使えるようにすれば、順番待ちをしている夫婦からクレームが出るそうだ。そうゆうことだから、はじめから夫婦に単身用の部屋を2部屋用意するのである。ある施設によると、こうしてそれぞれ独身?で入所した夫婦は、ほとんどの場合、時間が立つと夫婦カラーが薄れてゆくそうだ。やはり夫婦は同居して夫婦なのかもしれない。しかしこうして独身?という形で入居した夫婦には、こうした独身生活?は概ね好評であるそうだ。だから世の中はわからないものである。介護の仕事をしていると、家族の絆や夫婦の絆が段々薄れていくような傾向が急速にすすんでいることをどうしても否定できない。 さて社会的入院(所)をしていても不安のタネは尽きない。まず住所が自宅から病院や老人施設に変えられることが多い。特に特別養護老人ホームではほとんどの方がホームが現住所になっている。(なかにはご丁寧に本籍地までホームになっている方もいる)さらに気づいたら財産が本人以外の名義になってしまっているケースが少なくない。以前は子供たちが勝手に名義を変えるケースが多かったが最近では奥さんが旦那さんの名義を書き換えるケースも目立ってきた。そしてあらかた書き換えたら「離婚」というパターンも散見する。幸いこのようなケースは少なく私の廻りに私が知っているだけでまだ10件程度だが今後増えるのではないかと心配している。しかし、こうして離婚した人も1〜2年たつとなぜかほとんど全員が「あやしい異性」が近づいて数年たつとほとんどが財産を使い果たしてしまう。 でも男も負けてはいない。奥さんが寝たきりになると離婚するケースが出てきた。特に公務員や大企業に勤めていると年金が「配偶者」という立場の女性にもらえるしくみなので離婚したら、「新奥さん」のポジション?にちゃっかり収まろうとする女性がけっこう現れてそれなりにモテることが世間にわかってしまったからである。だから介護保険計画を立てる際には加入している健康保険や年金の種類を確認することは必須事項である。そうしないと「介護を理由とした離婚」というケースになることがあるからだ。 こうして財産と家族を失い、生活保護者となって施設を移ったり、街を出ているケースが少なくない。今日も往診の帰りに1人この街を出てゆく人を見送った。これで社会的入院は一人減ったが根本的な問題はなんら解決されてはいないことを行政関係者はどれだけ理解をしているかと思ったら暗くなってしまった。 |
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| <2006.4.7> |
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