今年の新人採用の季節は過ぎてしまったが、なんでも昨年から制度が変わり11月1日から1人2社まで応募・推薦ができるらしい。皆さんもご存知かと思うが、新規卒業者の採用に関しては最寄の職業安定所が行うのではなく、地区の職業安定所の学卒担当の方が一括しておこなうのである。私は先日街に出かけて少し時間があったので、この職業安定所の学卒担当者に挨拶に行ってきた。本来なら挨拶になど行く必要は全くないが、ここは官庁のこと「直接担当者に会い名刺の一つも交換すればそれなりに」という下心が少しあって、地区を管轄する職業安定所に出かけた。
さて求職のコーナーは閑散としていた。その奥の学卒担当者はヒマそうにしていた。私が直接出向くと、少し驚いた様子で親切に応対してくれた。 今年から高校の就職の名物であった求職の紙束に代わって、職業安定所と各学校の就職担当の先生との間で、就職情報をオンラインで結び各条件で検索をできるようになったそうだ。過去数年間、学卒者を応募した企業はすでに登録されており、私の診療所もしっかりと登録してあった。担当者はこれをプリントアウトして「もし条件が変わったら教えてください。ファックスでもかまいません。」といって用紙をよこした。 その後、しばらく担当者と雑談した。担当者は最近外国人労働者の採用増を懸念していた。というのは外国人労働者を受け入れている事業者のほぼすべては、以前高校生を採用していたそうだ。しかし一度外国人を採用した会社で、その後外国人の採用を止めて高校生を再び採用した例は、皆無だそうだ。そして大学生、特に短大生が高校生の仕事に積極的に進出しているそうだ。病院や会社の受付、ホテルのスタッフ、中小企業の事務職員などは、かつては高卒の独壇場であったが今はほとんどが大卒である。街のちょっときどった歯科医院でも、受付は大学・短大卒であることが多い。 しばらく雑談するなかで少し気がかりなことがあった。というのは当地ではほとんどの高校で、就職の内定がでないと自動車免許の取得を認めていない。そのため自動車免許を取りたい一心で就職の内定をとり、翌年の4月1日に仕事を辞める生徒が後を絶たないのである。 私の診療所でもかつて何人か経験したことがあった。このようなことがあると以前は校長や教頭が謝りにやってきたものだが、最近では見て見ないフリをする学校もでてきた。そのような学校は、学卒担当の役人には就職辞退といって届けを出している。当然このような経緯があったことは報告しないので、学卒担当の役人は事情を知らないのである。さらにこれらのシステムは、中学校の場合は追跡調査をするのだが、高校卒については追跡調査をするシステムは事実上ないのである。私がこのように自動車免許取得のための応募があり、4月に入ってから辞退する例が常態としてあり、私の診療所でもここ10年以内に3件あったことなどは全く知らなかった。でもこの役人が知ったとしてもこれでこの話は終わりだろう。 それから数日して、ある高校の就職担当の先生から電話があった。面接に応募したい生徒がいると言う。この学校は以前自動車免許取得目的の応募があった学校だった。しかもこの学校はその後も適当な理由をつけて誰もこなかった学校だ。電話にでると「本校の生徒が就職に応募したい」といった内容だった。私はついつい、「以前お宅の学校の生徒さんが4月に入ってから就職を突然辞退されたことがありました。それに対してあなたの学校は、忙しいだの担当者が出張しているなどといって、結局今日に至るまでまったく説明がありません。就職に応募されるにあたって、この事情を詳しく説明して頂かなくては応募を受けるわけにはいきません。さらに仮に応募されても、相当イメージが悪くなることをご納得の上ご応募いただければ幸いに存じます。」と言ってしまった。しかし就職担当者は「あ!そうですか!」と言って電話を切ってしまった。応募をした生徒さんには私が言った事情が正しく伝わるか甚だアヤシイものだ。 しかしこのような自分のことしか考えないような、役人のみに自分の一生の仕事を委ねなければならない生徒さんこそ哀れなものだ。弱者がいるところにはいまだに役所仕事や役所の論理がまかり通っている。選挙権のない彼女たちはどうやって道を切り開いて行くのだろうか? |
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| <2005.10.7> |
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