僻地に生きる歯科医
田舎の序列(ヒエラルヒー)?
のような郡部の歯科診療所では、患者さまをどのように呼ぶのか結構気を使う。普通は「○○様」とか「○×さん」と呼ぶのであるが、患者さまの中にはそれでは満足しない方が少なからずいらっしゃる。都会ではいわゆる「先生」といわれる職業が扱いにくい人たちの筆頭であるが、郡部ではちょっとちがう。つまり、「呼び方はどうでも言いのだが扱いを丁寧にしてほしい」という人たちが結構いる。


社の社長は社員といっしょに待合室では待ちたくない。医師は自分の患者と同じ待合室にいたくない。政治家は通院している所を見られたくない。など、都会ではどうでもいいことだが、田舎ではそれらの配慮をしっかりしないと、とんだクレームの原因となる。

の患者さまといっしょになりたくない患者さまは奥の面談室で待って頂くし、通院している所を見られたくない患者さまはウラの通用口から来院していただく。さらに、仲の悪い人たちは同じ時間に予約をとらないようにしている。しかし、中には単に「アイツが嫌いだから予約を一緒にしないでくれ」などと言うヘンな要望もある。こうゆう患者さまは自分の予約をずらすのは嫌いな方が多く、対応に苦慮することもある。

かし、全員にこういうことをしていたらキリがないので、当然断る方とひき受けるがでてくるのだが、どこで区別するのかはスタッフ全員が共通の認識をもっていなくてはいけない。一見、子供じみたことかしれないが、田舎では高度に政治的な判断を要するテクニックである。

かし、誰をどう優先するかは、暗黙のうちに序列というようなものがないわけではない。近所のある町では、町主催の新年会(賀詞交歓会などという)では明治初期の入植時の序列で平成の今でも座ることがあるそうだ。ある年、新しく市長になった人が足軽の出だったので市長が一番下座に座ったそうだ。その時、一番上座に座ったのは市役所の警備の方だったそうだ。このような順列は歯科医師会のなかにも見えないながらある。出身大学とか、親が歯科医師かとかで決まるそうだ。

も、郡部ではそういった序列を無視できる人たちがいる。学校の先生たちである。かつてほどではないが、学校の先生は郡部では尊敬される職業である。ところが困った問題もある。ごく一部ではあるが、その奥様が「トラの衣を借る狐」的な行動をするのである。診療所に来ても、遅刻し放題。そのくせ「早くしてください。」などと言う。

る日、あまり遅刻がひどいのでスタッフが相当ことばを選んで注意したところ、これがカチンときたのだろう。次回、当日になってから「今までの治療計画を白紙に戻して、ここを治療したら終了にしてください。」といってきた。私も「計画的に治療しているので変更等があれば事前に相談してください。」というと「それでは違約金をいくら払えばいいのですか?」などと平気でいってきた。どうも、こういった人たちは扱いにくい。

かし、私のベテランのスタッフは特に気にもせず淡々と職務をこなしていた。私は自分のスタッフが少し頼もしく見えた。
<2004.4.8>

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