僻地に生きる歯科医
ある事件報道を見て

近医療事故や不正などの報道が多い。ある事情通によると保険点数の改定の時期になるとワーと報道されるそうだ。もちろん情報をリークするのはある官庁だそうだ。そしてさらに医者=金持ち=悪人という社会的イメージを作っているそうだ。そのあおりを受けてかどうか知らないが歯科医師は悪い人という社会的イメージがつきまとう。

偽のほどはわからないが、いずれにせよ病院関係者はマスコミにとってはイジメやすい格好の対象となる。私は常々、「医療従事者、校長先生、芸能人」はマスコミの餌食になりやすい職業だと思っている。

日、東京都内のある病院で院内感染についての報道が大々的になされていたが、この中に少し気になる表現があった。あるマスコミによるとそこの病院ではカルテの人の名前や保険上の記載事項に若干の間違いがあったそうだ。これ自体、あってはいけないことだが決して珍しいことではない。もっとも、保険証や患者さん自身が記入する問診票のほうがずっと我々の誤記入より多いのもまた現実である。ところがそのマスコミはこれが一連の院内感染防止のズサンさを物語る一つの論拠としている。生年月日を間違えることが院内感染や医療事故に結びつくとは思えないが、三大全国紙が「そうだ!」といえばそうになってしまうのであろう。しかし、仲の良い患者さんにいわせると、「そうだ」と思うらしい。

台でもある病院のことがちょっと前、マスコミをにぎわした。ある評論家という人にいわせると「結局、警察につかまった人が本当にやったのかどうかと言う前にそのような疑惑を生じさせるような人を見抜けないで雇ったという、院長の人を見る目のなさが今回の事件の一番の原因です」と決めつけていた。よく考えると変な話だが、結構読み手を満足させるには充分な屁理屈である。

し前、介護の世界で車椅子に乗っているお年寄りで車椅子から滑り落ちることがあるのでベルトをしようとしたところ、これが「身体拘束」になるのでは?と論議がなされたことがあった。しかしこの論議は介護保険の施設にとっては大変な問題である。なにせ一人でもこのような人がいればそこの施設全体が「身体拘束をしている施設」ということになってしまうそうだ。

かし、私の知り合いに言わせると「ちょっとでも、縛れば拘束だし。一人でもこのような状態であれば『身体拘束をしている施設』といわれても仕方がない」という。介護の世界にいる方なら頭の痛いことであるが、不謹慎ながらも私にとってはこんなことを論議している暇があったらもっと他に論議しなくてはならない問題が山積しているような気がするのだが・・・
<2002.6.5>

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