限られた時間の中で

の中には言葉に不自由な方がたくさんいらっしゃる。しかし言葉に不自由な方は自立して仕事を持っている方も多く、そのせいか歯科の治療でも熱心なことが多い。

近では市役所へ連絡すれば手話通訳のボランティアを世話してくれるし、場合によっては送迎をもしてくれる。先生とスタッフが情熱さえあればなんとかなるのではないかと思う…。残念ながらこれは都会に住んでいる言葉の不自由な方の話である。

ず当地では手話通訳ボランティア組織はあってないようなもので、かろうじて都市の病院のボランティアの方が毎週2時間程度来る位である。とても歯科診療にまでは手が回らない。それでは筆談という手があるがこれがほとんど役に立たないのである。

疎地に住んでいる言葉の不自由な方は高齢者の場合が多い。しかも相当部分の方が文字を理解出来ないのである。言葉や文字を覚える時期に第二次世界大戦やその戦後の混乱の時代を経験せざるをえなかったので(おそらく生きて行くだけで精一杯で)とても文字を勉強するゆとりがなかったかと思う。

かも現在でも言葉が不自由な方のための学校はほとんどが都市へ集中しており、なかなか勉強の機会には恵まれていない。そして若い言葉の不自由な方はどんどん環境が整った都市へ集中し、こういった訓練を受けなかった人たちがひっそりと郡部へ残ってしまった。

ればかりではない。NHKの手話講座の手話がほとんど役に立たないのである。私の診療所のスタッフでかつて高等学校のボランティアクラブで活躍していた者に言わせると、手話にはいくつか流派のようなものがあって微妙に違うらしい。さらに学校で手話を教わっていない方の中には、家族の中のみで通ずる手話とか友人とのみで通ずる手話があるそうだ。私の患者さんもNHKの手話はほとんど通じない。そのうえ素人の私でも、患者さんの親が来た時と、友人(幼馴染み)が来た時でははっきりと手話が異なっていることが分かる。そして数少ないコミュニケーションをになっている彼等も老齢期を迎え次々と病気になったり死んだりしている。

政関係者に聞いてみると、無料で手話や文字を勉強する公立の施設があり通学にも補助があるそうだ。しかし当地からその学校へ通うのには朝は6時前には出なくてはならないし帰りも夜8時を回ってしまう。これでは60才をこえた人たちにとっては通学は無理だ。

所の人たちも彼等のことを相当心配しているらしく時々訪問しているそうだが具体的な方策は見つかっていない。彼等に残されている時間は少ない。一体どうしたら良いのか私にはわからない。是非皆様の御知恵を拝借したいものだ。
<2001.12.5>

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