当然のことながら歯科に関しても多くの迷信があり、しばしば治療上のトラブルになるものも少なくない。以前勤めていた大学病院では、数学の教授より「歯石を除去すると食味が変わるので除去しないでほしい」と言われたことがある。大学病院なので多くの学生が研修しているのだが、歯石除去の大切さをいくら説明しても理解してもらえず、そればかりか多くの学生の目前で「俺の信念に文句があるのか?」と感情的に言われ大変困った経験がある。 私の住んでいる街でも歯科に関する迷信は少なからず存在する。例えば「乳歯冠を入れると永久歯の交換が遅くなる」「歯は後に萌えて来た方がムシ歯になりにくい、痛み止めを飲むと治ゆが遅れる、場合によっては知能が低下する」等がある。幸いなことに歴史が浅く新しいものを取り入れるのに敏感な土地柄のせいか、これ等に関して治療上のトラブルが少ないのは幸いである。 それともう1つ当地では「外車」を買うと会社が傾くという変な迷信もある。私の後輩もあるドイツ車を買おうとしたら親戚全員から反対されたそうだ。 私自身、運転免許証を持っていないので、自動車にはあまり興味がないが、私の父は自動車が大好きである。私の知る限りでは今まで10台以上新車を買ったという記憶がある。その父がどういう訳か、中古のマンションをひょっとして買えるような自動車をボーナスシーズンに買った。しかもよりによって、父の診療所のスタッフには普通通りボーナスを支給したものの、私をはじめ私のスタッフには「業績悪化」(実は本当に変化していたのは父の診療所の方だったが)を理由にボーナスを全額カットした。 これには当然のことながらスタッフたちは反発した。始めのうちは「俺の方針に逆らう奴は全員クビだ!」など威勢の良いことを言っていた父も、スタッフの家族も巻き込んだ“労働争議”にあっけなく妥協してしまった。 企業はヒトで成り立つと言われている。従ってヒトを大切にしない企業は消えてゆく運命にあると言われている。そうすると「外車を買うと会社が傾く」と言う迷信もまんざらウソではないような気がした。 |
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| <2001.11.7> |
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