訪問診療の落とし穴?

問診療を行っているとごく稀であるがトラブルを生ずることがある。特に病院の場合は我々の他に患者さんの家族をはじめ、医師・看護婦・その他介護等に関する人々が沢山いる。そのため一度トラブルを起こし人間関係がこじれてしまうと、その修復に多大な努力が必要とされることが多い。

の親族で有床診療所を開設している者が何人かいる。そして時々であるが訪問診療をたのまれて行くことがある。私は病院等へ訪問診療へ出かける時は必ず毎回、院長や主治医へ報告してから始める。当然私の親族間でもこのルールは厳守している。しかし中にはこのルールを無視して勝手に訪問診療を開始する先生も少なくない。しかも私の親族の診療所へ来て、私と病室でバッタリはち会わせということが何回か会った。私の個人的な心情として“俺の身内の診療所にまでノコノコ来やがって”という気持ちであるが当の先生にしてみれば「患者の主治医選択権を行使したまで」と涼しいものである。しかも無連絡で訪問診療していることが院長の耳に入り、どこでどう間違ったのか私が注意を受けたことがあった。

、訪問診療先の与薬についても困ることがある。居宅ならさほど問題がないのであるが病院ではしばしば経験する。歯痛では健康保険上ボルタレンやロキソニンは出せないことになっているが医科ではルーチンに出している実態がある。よく看護婦に「ボルタレンの方が鎮痛効果が大きいと思うのですが」とやんわり言われる事もある。これにはいくら「規則ですから」と言っても本当に理解されることはないのではないかと思う(説明している私ですら納得していないのだから…)

ういうこともあった。抜髄後にある鎮痛剤を出したらこれが長年の腰痛にもバッチリ効いたらしい。この鎮痛剤は前述の薬剤に比べずっとアスピリン係数は小さいのにである。そしてこの患者さんは他の同様の症状で入院している方へ「魔法の薬だ!」などと称して分けたそうだ。「信ずる者は救われる」という聖書の名言通り、この方も長年の痛みにピタリと効いてしまったそうだ。そしてこともあろうか主治医へ「この薬を下さい」と頼んでしまったらしい。院長は私に言葉を選びながらも苦言を呈した。そしてそれ以降、与薬については直接に患者さんへ渡さず、主治医か看護婦へ渡すことにしている。いずれにせよ非常につかれることである。
<2001.7.4>

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