ストレス・フリー(その3)
回まで二回にわたり私見を書かせていただきました。中には「ずいぶんと客である患者に注文をつける医院」だと思われている方もいらっしゃると思います。

存知の方もいるとは思いますが、かつてこんな事がありました。寄席で某有名落語家が演じようとした際に、前列のお客さんの一人がお酒に酔って熟睡状態。うとうと寝ている状態ではなく、周囲にも落語家にもにもはっきりわかるぐらいに寝ていたので落語家は激怒…そのお客さんに出て行くように促しました。熟睡していたお客さんは、「木戸銭(入場料)を支払っているのだから退場させられるのはおかしい」とばかり訴えでて、結局この事件は裁判沙汰になりました。

て、この事件みなさんはどう思われますか?お金を支払っていれば何をしても許されるとお考えになりますか?私は、ここには一番の根幹をなす事実、すなわち『寄席は落語を聞きに来る所』ということが、お客さんの頭からは消えていたように思います。目線を向けたその先に熟睡中のお客が目に飛び込んできて、お客さんを楽しませようと頑張っていた落語家も、やる気をなくしてしまったのではないでしょうか。

医者もしかり。そこで働く衛生士をはじめとするスタッフもまさに同じです。歯科医院の根底をなす事実とは、『治療を受けて歯とお口の健康な状態を取り戻す』、加えて『健康を維持する』ことだと思います。そのために日々精進し技術の習得、スムースに治療が進むシステムの構築、明るくきれいな診療室の維持管理...等々頑張っています。これはプロとして、医療サービス従事者として、当然の事だと考えています。ですから、受診される方にも、先の寄席のお話ではありませんが、「歯医者は何をしに(されに)来る場所なのか」という事を忘れないでいて欲しいと思います。だって、歯科治療をはじめ医療も結局のところ『手作業』です。私たちは医療ロボットではありません。常時『平常心』、『仏心』の医療従事者なんている訳ないと思いませんか?少しの心の乱れが、いつもはスムースに行く事も時間がかかってしまったり、何回もやり直さなければならなかったりする結果につながったりします。その反対に、例えば、ブラッシング指導の際にわからない事などを質問されれば、こちらもさらに充実した内容の濃い指導をしようという気持ちになります。

ービスというのは、自分で出来ない事、しない事を、自分に代わってしてもらい、そして報酬を支払うものだと思います。サービスを受ける側にあっても、サービスを受ける態度、マナーを忘れずにいて欲しいと思います。お互いがお互いの立場を尊重すれば、きっと最善プラスアルファの治療が受けられる事でしょう。サービスする側もサービスを受ける側も、『お互い気持ちよく』の気持ちを大切にしたいと思います。受ける側の主張だけが取り上げられる事の多くなった昨今への、愚痴と苦言でした。

Dr.こみのEメールdental@wahaha.gr.jp

<2005.11.9>

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