新・健康ダイヤル
Vol.8-2001.10

呼吸体操のすすめ(2)
運動科学研究所所長 高岡 英夫

深くゆったりした腹式呼吸ができる呼吸法「ベース」
[Vol.5] の「呼吸体操」はいかがでしたか?今回は呼吸法の第2弾!深くゆったりした腹式呼吸ができる呼吸法「ベース」をご紹介します。呼吸法「ベース」は、前回行ったベース1「呼吸体操」、ベース2「胸腹呼吸法」、ベース3「腹式呼吸法」の3ステップからなります。

<呼吸法ベースの効果>
 呼吸が深くなると全身が活性化し、代謝が良くなり疲れにくくなります。また、日頃から深い呼吸ができれば、相手を自然にリラックスさせ、人からも信頼感が得られるようになります。呼吸が浅いと、自分も苦しく不快ですし、それが周りにいる人にも緊張感を与えてしまいます。呼吸を改善して、健康な身体と快適な人間関係を手に入れましょう。

<まずは姿勢を正しましょう>
 はじめに、体を気持ちよくゆすって、ゆるゆるにゆるめます。特にあばら骨・背骨・骨盤とその周りの筋肉を、十分ゆるめて下さい。
 次に、椅子に浅めに腰掛けます。お尻の中央に左右一つずつある座骨を意識し、椅子の座面にすっと垂直に立つように座りましょう。すっきり座れたら、軽く背骨の周りをゆすって、身体をゆるめてあげましょう。
 姿勢良く腰掛けると疲れてしまう人が多いようですが、昔の日本人はいつもすっきりと背筋を伸ばしていました。最近は電車の中でも、ずるっと腰を曲げ、ずっこけたスタイルで座っている姿が目につきます。「座骨で立つ」という正しい座り方が身につくと、いつでもどこでも楽に長時間すっきりと背骨を伸ばして座ることができるようになります。正しく楽な姿勢こそ、健康の源です。

<より良い呼吸のための基本>
 呼吸は、鼻で吸って主に口から吐き出します。舌先は、上顎の前歯に近い所に、軽くつけましょう。
 息を吸うとき吐くときは、体幹の前側だけでなく、背中側や脇側も使って呼吸をすることを心がけましょう。【図1】
 胸に引き上げるときには胸・脇・背中に体の中心から外側に向かって均等に広がり、腹に下ろすときにも腹腰が均等に広がるようにして下さい。もちろん、骨格の構造上、背中側より胸側の方がより広がりますが、均等に広がる意識で行うことが大切です。
 では呼吸法「ベース」を行いましょう。ベース1・2・3それぞれの呼吸法は、3〜5回づつ繰り返して下さい。

図1ベース1・呼吸体操)
 鼻から息を吸いましょう。吸った息の3割を残すように主に口から吐いていきます。そのまま息を止め、胸・脇・背中に息を引き上げます。そうすると、おなかや腰の部分がへっこみ、胸・脇・背中が膨らみます。次に腹腰に息を下ろします。胸・脇・背中と腹腰を交互に数回繰り返したら、ゆっくりと息を吐いていきます。

ベース2・胸腹呼吸法)
 楽に数回息を整えた後、息を全て吐ききります。吐ききったら、いきなり鼻から胸・脇・背中に息を吸い入れ、腹腰にはまだ入れないようにします。そこで一度息を止め、空気の出入りができないように口を閉じます。
 その状態で、ゆっくりと息を腹腰に下ろします。充分に気持ちよく下ろせたら、ゆったりと鼻も使いながら主に口から吐いていきます。吐ききったら、いきなり胸・脇・背中に息を吸い、腹腰に下ろす所から繰り返します。

ベース3・腹式呼吸法)
 ベース2で腹腰から息を吐ききったら、今度はいきなり腹腰に鼻から息を吸い入れます。充分に吸い込んだらいったん止め、今度は気持ちよく口からゆったりと吐いていきます。「呼吸体操」「胸腹呼吸法」でウォーミングアップした効果で、今までより楽にたっぷりと腹腰に息が入ってくるでしょう。

いずれの呼吸法も身体が固くなってきたら、やさしく気持ちよく身体をゆすりゆるめましょう。段階を追って行うので、子供でも容易に腹式呼吸が身につきます。ぜひ毎日の通勤時、就寝前など、ちょっとした合間に実践してみて下さい!1日少しのトレーニングで、普段の呼吸が快適に変わりますよ。


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