Vol.2-2001.6

運動科学研究所所長 高岡 英夫

私たちはスポーツでも、人間関係でも難しい局面になればなるほど、身も心も固まりやすい傾向にあります。例えばスキーをする場合、易しい斜面とこぶだらけでカチカチに凍った急斜面では、どうしても急斜面のほうが力が入りがちですね。人間関係でも仲の良い人、初対面の人、苦手意識のある人とでは、自ずと態度も心身の状態も違います。苦手な人だったり、イライラしているときには思わず硬化した態度をとってしまうものです。いつでも快適に過ごすためには、心身共に気持ちよくゆるんでいることが必要です。そこで今回は、自分でできる脱力法「ダイナミックリラクゼーション ゆる体操」を紹介させて頂きます。

 ご存じのヨガ、瞑想法、自律訓練法、呼吸法、アロマテラピー・・・は、静かな状態で行うリラックス法で、スタティックリラクゼーション(静的な脱力法)と言います。それに対しダイナミックリラクゼーションは、ダイナミック(動的に)に体をゆすり全身をほぐす方法です。ダイナミックリラクゼーションの特徴は、動きを伴ったときのリラックスが容易になることです。
 世の中のあらゆる分野で、非常に優れたパフォーマンスを発揮する人々は、ゆるゆるにゆるんだ身体をしています。子供の頃のようにゆるんだ身体が、快適でかつ優れたパフォーマンスの源なのです。

●ゆるの方法
 まず体をゆすります。人間の体は、ゆすると揺れ、緩むようになっています。「ゆする」「ゆれる」「ゆるむ」を繰り返し全身がほぐれたら、次に頭蓋骨から順々に、「骨」を意識してゆすっていきます。固い骨がクリームかミルクになるようなイメージで、ゆるゆるトロトロになるようにゆすります。頭蓋骨から、くびの骨、鎖骨、肩関節、肩胛骨、上腕骨という要領で、ゆすりながら上から下へおりていきます。「内臓」「筋肉」も同様に上から下へとゆすります。
 やりづらい所は、さすったり、軽く叩くと、意識しやすくなり効果が上がります。はじめは固まっていた身体も、続けるにつれ、柔らかく滑らかな動きになってきます。仕事をしていて、気になる所、違和感のある所、身体がつらくなった所に、ゆるをかけると、疲労度が違ってきます。是非お試し下さい。
初心者は最も動かしやすい首だけを激しくゆすりがちですから、首をソフトにゆするように注意して下さい。



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