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チベットの歯科医院


●何故チベットへ
 私は今年の夏、チベットに行くことができました。春に何気なく「チベットに行く」と言った一言から、次々といろいろなことが起こり、チベットに導いてくれたようです。私が特にうれしかったのは、娘が自分からいろいろとしてくれたことです。チベットに行ったことがある友人を紹介してくれたり、苦手なカメラの使い方を教えてくれたり。その友人の紹介で、チベットのガイドブックを書いている長田さんにもお会いすることができました。まるでチベットが私のほうに近づいてきたようです。
 ところがSARS騒ぎで中国への旅行が難しくなり、何もしないまま7月を迎えました。本格的に準備をはじめたのは10日前のことでした。あわただしく支度をして、2週間のひとり旅に出たのでした。
 ほとんどの人から、チベットと言うと「何故?」と聞かれます。しかし、私にはなかなかよい答えが思い浮かびません。これまでも、インドでネパールに出合い、ネパールでチベットに出合ってきた私にとって、中央アジアをめぐる旅は、ようやく総本山にたどり着いたという気がします。

●ポタラ宮とジョカン
 私が滞在したのは、チベット人街のほぼ中心、ジョカン(大昭寺)というお寺の近くのホテルです。窓からはチベットのシンボル、ポタラ宮が見えます。日本人を含め外国人旅行者は、ポタラ宮を見たくてチベットに来る人が多いようです。一方、ジョカンはチベット全土から巡礼者が集まるところです。
 ジョカンは、巡礼者のために午前中は無料で仏像が拝観できるようになっています。巡礼者は1つ1つの仏像に額をこすり付けながら、2〜3時間もかけてお堂を巡ります。一方、午後は観光客が入る時間になり、本堂の廻りの小さなお堂は鎖で閉められてしまいます。チベット人が入れないので、短時間で参観できるようになっています。私は毎日のように午前中にジョカンに通い、周囲の環状バザールをマニ車を回しながら時計回りに3回まわり、チベット人の人波にもまれながら参拝をしていました。

●市場の中の歯医者さん
 何度かジョカンに通ううちに、その道沿いの市場の中に歯医者さんがあることを発見しました。歯の絵の看板があるので判りました。1つ見つけると、その向かいにも、1つ先の隣にも歯医者さんがあります。市場の街並みに溶け込んでいて、注意しないと判りません。患者はチベット人です。
 中国では歯科は牙科と書きます。言葉は通じないものの、漢字から大体の意味は想像することができます。これらの歯科医院は個人の歯科医院で、資格を持って治療しているとのことです。道路に直接面して診察室があります。ご覧のようにユニットはなく、椅子が1台あるだけの診察室です。治療の内容は詳しく聞くことができませんでしたが、ちょうど治療を受けていた女の子は、歯にダイヤのような飾りを付けていました。しかし写真を撮ろうとすると恥ずかしがられてしまいました。()の写真は、入口でたむろしていた人たちが治療風景を再現してくれたものです。



●大通りの歯科医院
 このような個人の歯科医院とは別に、公立の総合病院の中にも歯科があります。総合病院と言っても、ちょっと大きな中華料理店と変わらない間口です。こちらも街並みにまぎれて、よく見ないと判りません。
 この総合病院の入口には「中西結合」と書いてあります。東洋医学と西洋医学を結合させて治療を行っているという意味でしょうか。その具体的な内容は判りませんでしたが、どんな治療なのか興味があるところです。窓には「明明白白就診」(判りやすい説明)とか「軽軽松松治病」(簡単な治療)という文字が大きく書いてあります。また「无痛抜」(痛くなく抜く)とか、矯正、漂白、修復などの文字が並んでいます。PRに力を入れていることが判ります。
 文字が書かれた窓の中が診察室になっています。こちらにはユニットが置かれています。ネパールやモンゴルでもそうでしたが、新しい病院の歯科医院は設備が揃っていて、日本と大きな差がないという印象です。
 この歯科医院の歯医者さんは中国人のようです。残念ながら写真撮影は断られてしまいましたが、治療費を書いている本を説明してくださいました。治療内容と料金が細かく書いてあり、いつも治療内容と料金の関係が判りやすいので感心しました。
 写真撮影に応じてくださったのはアシスタントの方でチベット人です。患者は中国人とチベット人が半々のようです。

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