味彩通信
Vol.50-2005.6
エロチックマンゴー

 毎年、梅雨明けとともに楽しみにしているのが、沖縄・石垣島のマンゴー。スーパーでは年間を通じて、黄色い“ペリカンマンゴー”というのをよく見かけますが、これは同じマンゴーでもまったく別物です。赤く、丸く、大きな“アーウィン種”という種類で、酸味が少ないのも特徴。完熟を待って発送されるので、香りがすごく強烈です。

 ちなみに私が取り寄せているのは「ねまマンゴー農園」というところで作られているもの。これは知り合いの料理カメラマンで、自家製のマンゴープリン作りにハマった人がいて、彼があちこちのマンゴーを試した結果、辿り着いたのがこちらのものだとかで薦められたのですが、初めて食べたときはそりゃあびっくり。なにしろ箱を開けたそばから一面に漂う香りは圧倒的で、私はいつも「南国のグラマーなねーちゃんが、サンバのリズムに乗ってぷりぷりお尻をふりながらせまってくるような匂い」と表現して、あまりにも下品だと顰蹙をかっているのですが、他にどう表現していいのかわからないほどエロチック。同じくこの時期に出回る桃の香りもいいものですが、こちらはなんとも清純で控えめ。「りんご追分け」チックというか、ある意味、やはり日本らしい果物だなぁと思います。

 さて、じっとりと暑い夏の昼下がり。30分から1時間程度、冷蔵庫でほどよく冷やしたマンゴーを取り出したら、冷房はスイッチオフ。窓を大きく開け放します。というのも、すいかやそうめんと同じで、こやつ涼しい部屋で食べても味は半減なのですな。で、いよいよおもむろにナイフを当てますと…。キメの細かい果肉に、刃がするり〜んと入り込んでいきます。大きく切ってスプーンですくってもよし、食べやすくダイスに切ってもよし。ひんやりねっとりとした果肉は、ぬめぬめとその身をよじらせて口の中いっぱいに南国の香りを放ち、のどもとをちゅるんと滑り落ちていきます。なぁんて悩ましい味なんでしょ。うっふ〜ん。

 このマンゴー、収穫期はおよそ1カ月ぽっきり。その上にそれなりに結構なお値段なので、お目にかかるのは1シーズンに1回と決めていますが、いつか収穫期の農園を訪れて、思う様かぶりつくのが夢。あぁもう、想像するだけで、あっは〜ん。

佐伯明子

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