味彩通信
Vol.49-2005.5
ラグ麺考
※ラグ麺:新疆(しんきょう)ウイグル自治区の麺

 NHKの「シルクロード」、新シリーズが始まり楽しみに見ている。

 私の住んでいる水沢市には「国立天文台」があり、そこには世界中の学者が集まって来る。中国からの研究員「平勁松」さんもそのひとり。北京大学から国費で派遣されているとか。一昨年の中国の「有人ロケット」打ち上げ実験にも関わったそうで、とにかく「相当のエリート」らしい。が、実際お会いしてみると穏やかで、にこやかな紳士である。奥様の「沈玉梅」さんもエリートらしいのだが気取らず温かみのある女性。この二人の出身が「新疆ウイグル自治区」なのだ。一人息子の「陸」君の大好物の「麺」を教えてもらった。

 薄力粉でつくる。水と塩を加えてこね、ねかす。適当な大きさに分割してまたねかす。手に油を塗って細長くのばす(まるで子供のころ粘土で作った「ヘビ」のよう)。大鍋の湯がぐらぐらと煮立ったら、「ヘビ」のような生地を両手の親指に掛け渡す。両手を左右いっぱいに広げると麺も細くのびる。それを湯に投入、3分程ゆでたら冷水にとって洗う。具はフライパンでしょうが・唐辛子・鶏肉(羊肉)とピーマンを炒め塩と砂糖・醤油で味付けし、山椒をたっぷりふりかけて仕上げる。冷たい麺を皿に盛り、上に具を乗せ混ぜて食べる。マルコポーロが見聞し西洋に伝え、後にイタリア人が「スパゲッティ」として食しているもののルーツらしい。ツルツルでこしのある麺に、素朴だが力強い山椒風味の具がマッチして絶品であった。
 「週に1・2回はつくる」平さんちの家庭料理、息子の陸君は大満足。

 それにしても陸君、かなり賢い。お会いした当時3才で、うちの息子より少し早い誕生日。私と両親が話していると飽きてきてグズりそうになった。すると平さん、紙とペンを与えて「自分のなまえ」「うちの電話番号」と指示、3才の陸君、スラスラと書いた!! わたしゃ驚いた!なんてったってうちの息子、字は「1」しか書けなかったんだから。その後、平さんに聞いたら「どういうわけか、入学が許可されたんですよね・・」と。母親と帰国した陸君、どうやら優秀なので5歳で小学校に入学させられたらしい。4月8日、うちの息子も小学校に入学した。もちろん6歳、普通に入学、である。

新疆ウイグル自治区の手延べ麺
及川喜久子

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