味彩通信
Vol.45-2004.12
大根全部 食べる

 大根を5本いただいた。
 「今、畑から抜いてきたところ」の新鮮なもの。葉っぱが先端までついていた。
 大喜びで「おでん」「イカ大根」「甘酢漬け」を作った。葉は桜えびとともにかき揚げにしたら、「さくさく」の食感が心地よかった。皮のきれいなところは千切りにして油揚げとともに味噌汁にする。6歳の息子はこの大根汁が大好物、生まれて初めて食べたのもおでんの大根だった。
 「料理の先生だから離乳食もこまめに作っていらっしゃるんでしょう?」と、聞かれたものだが、お恥ずかしい事にわざわざ息子のために作った離乳食は2度だけだった。大人が食べるものをつぶしたり、小さくしたりして食べさせた。その「初めての食べ物」が大根だった、と言う訳。
 さて、頂き物の大根、全部無駄なく使いきったら、なんだかうれしくなった。
 ここひと月ほど、野菜の異常な高値に驚かされているせいもある。
 暑い夏、豊作だったお米が台風にやられ、秋の長雨で品質もおちた。
 野菜、果物も何らかの被害を受けている。1個300円のキャベツ、1束300円のほうれん草、1本300円の大根・・・・。きゅうりが1本98円!! 産地を控えた岩手でさえもこのありさま。
 「曲がったきゅうり」や生育途上の葉物を出荷した農家に助成金が出されるとも聞いた。300円ほどの金額で大騒ぎもないのだが、なにせ毎日の事、家計を預かる身には深刻だ。
 さて、頂き物の大根で幸せな気分になったので今回は「根菜のステーキ」のレシピをご紹介します。南部鉄のすきやき鍋で焼くとおいしくできます。

 ここ数年のBSE、鶏インフルエンザにはじまって異常気象・天災等受難続きの「食」の世界、来年こそ平穏であってほしいもの、皆様の健康をお祈り申し上げます。

及川喜久子

及川喜久子さんのプロフィールはこちら


INDEX