味彩通信
Vol.28-2002.11
元気が出るごはん

 ようやく秋も深まり、食欲、睡眠欲、読書欲・・・と煩悩に翻弄されそうな今日この頃。それにしてもまぁ、今年の夏は暑かった!毎年、長袖が恋しくなるこの時期は、夏の余波でグッタリですが、今年は例年にも増して、と感じるのは私だけでしょうか?

 さて、私はカラダに感じるストレスにはもっぱら食事をもって対処する派。幼い頃から母に「病気になってお医者さんに行ったり薬を買ってお金を使うくらいなら、おいしいくて栄養のあるものをたくさん食べて病気を予防する方がずっといい!」と言われて育ったせいか、すっかりこのスタイルが身についています。

 というわけで、先日はなんだかしゃっきりしないカラダにカンフル剤を!とばかりにおいしいうなぎを堪能してきました。うなぎといえば日本の夏のスタミナ食の代表選手ですが、この時期にだってもちろん効果は抜群!

 訪れたのは東京は中野。北口商店街のアーケードを抜けて、くいっくいっとふたつばかり角を曲がると“今どきこんな昭和初期の映画セットのような町並みが?”と思うような、しぶ〜い佇まいの横町が現れます。そして、おのぼりさんよろしくキョロキョロと辺りを見渡していると、どこからか香ばしいうなぎの香りがふわりふわり。

 「川二郎」というそのお店は、正確にいえば“うなぎの串焼き屋さん”です。一杯飲み屋風のこの店ではかぶと(頭)のほんの先っちょを除いて、うなぎのすべてを串に刺して焼き、食べさせてくれるのです。もちろん炭火焼き。

 年期の入ったのれんをくぐり、小さな椅子に腰掛けたら、まずはやっぱりビールでしょう。目の前で焼き上がるうなぎを眺めつつわくわく。最初にあがってきたのは身を太めに切って焼いた“短冊”です。いわゆる東京風の蒲焼きのように蒸してないので味わいは濃厚。といってもちっともしつこくない。ひとくちがぶりとほおばったところに、今度はよ〜く冷えた焼酎を生(き)のままぐびり。お次はごぼうのまわりにうなぎの身を巻きつけた“八幡巻き”。そして1匹に1個しかない貴重な“肝焼き”に、にらと腹骨の回りにヒレの部分を巻いた“ヒレ焼き”・・・。と、その他部位の違う数種の串焼きをお腹に納めたところでかなりくちくなったのですが、“やっぱり最後はうな丼よね!”ということで、ご飯はやや少な目にしてもらったものの自家製のぬか漬けをお供にペロリ。は〜、満足満足、元気百倍!

 ところで旬のものを食べろというのは昔からよくいわれていることですが、先日、漢方の先生におもしろい話を伺いました。先生曰く、旬の食材が尊ばれたのはあくまで昔のお話し、今では必ずしも旬の食材がカラダにいいというわけではないとのこと。というのもたとえば夏の食材はカラダを冷やし、熱をとるものが多いのですが、冷房に一日中さらされているカラダには必ずしもふさわしいものではないというわけ。なるほど。

 さらにこれは別のところで聞いた話ですが、夏はそれほど張り切ってカロリーを摂らなくてもいいのだとか。なぜならカロリーとは要するにエネルギーのことで、そのエネルギーの多くがカラダを温めるために使われるので、暑い夏は冬ほどエネルギーを消費しないですむ!というわけで・・・。ありゃりゃ。今年も“夏バテ解消!”と称してずいぶん食べちゃったんだけどなぁ。これじゃぁ、痩せるわけがない。ま、これは来年への教訓として・・・。
佐伯明子

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