味彩通信
Vol.26-2000.12

美味しくって、あったか〜い 日本酒は「和の心」

以前なら「熱燗で一杯。どう?」がこの季節の誘い文句でしたが、最近は他のアルコールにおされ気味の日本酒です。ニューヨークなどでは和食ブームの影響からか、日本酒の人気が高まっているそうで「Sake(日本酒)−Bar」が登場し、週末には行列が出来るほどの人気だとか。中には「Myグラス」ならぬ「My升」を置いている常連さんもいるそうです。しかしながらお正月のお屠蘇や結婚式の三々九度など日本人にとってまだまだ特別な日や節目に欠かせないのが日本酒です。20世紀も残りわずかとなり、まもなく21世紀が始まります。日本のお酒である日本酒を今一度見直してみませんか。

男酒と女酒
日本酒の約80%は水。それだけに良い水が欠かせません。ではお酒にとって良い水とは? 鉄分や有機物が極めて少なく、濁りのないミネラル分を含んだものがおいしい水なのだそうです。昔から酒造りで有名な灘の「宮水」は、ミネラル分をたくさん含んだ硬質の水。このミネラル分が酵母菌の発酵を進めるためスッキリした辛口の酒になることから男酒と呼ばれています。また京都の伏見も昔から有名ですが、ここの水は「伏水」と言われミネラル分の少ない軟水でやわらかな口当たりのお酒が出来るため女酒と呼ばれています。
我が家の酒鍋ご紹介
鍋好きの我が家。中でも人気のお鍋が酒鍋です。薄味に仕立てるとたくさん食べられ、体が芯から温まります。ニンニクを入れるのですが、お芋のようにホクホクで、しかも翌朝ほとんど匂いませんので是非お試しください。
1) 水とお酒を3:7〜1:9の割合でお鍋の8分目まで入れ、昆布を入れて火にかけます。
2) 皮をむいたニンニク、繊維の方向に4−5cmの長さに切った白菜、にんじん、大根を鍋に入れ、少しずらして蓋をします。沸騰する直前に昆布を引き上げます。
3) 沸騰したらコマ切れの豚肉を入れ、肉に火が通った頃にもどした春雨、湯通しし細切りにした油あげを加え2〜3分煮ます。
4) 味をみて塩とお醤油で味を整えて出来上がり。

(一つまみの塩を加えるくらいでも美味!)
初代の「正宗」は「櫻正宗」
現在の発売されている日本酒の銘柄は1万種以上といわれています。銘柄で多く使われている文字は日本の美しい風景や花などから「山」「菊」「梅」、長寿を祝う「鶴」など。また「正宗」も多く使われており音読みにすると「せいしゅう」となり清酒に通じること、名刀の正宗のように切れ味がいいと言う意味から全国的に「正宗」が流行したそうです。ちなみに正宗の名前を初めて付けたのは天保の頃、灘の山邑酒造の「櫻正宗」が初代だそうです。
「みりん」もお酒の仲間です
みりんは料理に甘味やツヤ、照りを与え、更にアルコールの働きで煮くずれも防いでくれる優れもの!甘味は、砂糖の甘味とは違い発酵による旨みが凝縮されているので料理にコクがでます。調味料として使われますが、アルコール度数は14%前後とれっきとしたお酒なので、酒販免許を持ったお店でしか販売できません。「みりん風調味料」なるラベルを見かけたことがあると思いますが、これは甘味調味料でみりんとは全く別物なのでご注意を。お正月のお屠蘇にも使われたりしますが、我が家ではみりんにお酢を合わせ乾燥バジルなどを入れてマリネ液にも使っています。



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