味彩通信
Vol.21-2000.2
言えますか!?春と秋の七草
春と秋の七草今年はミレニアム(千年紀)ということもあって、いつもとちょっぴり違った気分で新年を迎えられた方も多いのではないでしょうか。四季のある日本では昔から季節の変わる節目を節日(せちび)と言い、神様にお供え物をしてお祝いをしていたそうです。現在でも「五節句」など地域や家々が、それぞれの形で伝えているものもあります。今回はその中のひとつ、七草粥の日として知られる「1月7日の節句」についてお話しさせていただきます。
「五節句」って...
平安時代に中国から伝わったもので、地域によってお祝いの形は様々なようです。
1月7日 人日(じんじつ)の節句
3月3日 上巳(じょうみ)の節句
5月5日 端午(たんご)の節句
7月7日 七夕(たなばた)の節句
9月9日 重陽(ちょうよう)の節句
七草粥のいわれ
中国では1月7日は「人日の節句」(人間を大切にする日)。この日に7種の若草を食べると万病を払い、長寿になるといわれています。日本での始まりは奈良時代までさかのぼり、平安初期の文献には七種の草を入れた汁を神社等に奉納したとの記述もあります。汁から粥になったのは室町時代以降で、小正月(1月15日)に食べる小豆粥の影響ではないかとされています。江戸時代になると将軍以下の諸公が、七草の入った「七草粥」を食べる公式行事となりました。実際には、野菜の乏しい冬場に不足しがちな栄養素の補給になり、七草の薬効成分が、おせちで疲れた胃を休めるためにもよいとされています。最近では小松菜などの入手しやすい野菜を使うことも多いそうです。
春の七草とその効用
セリ・・・精神安定、血圧降下に。香りは食欲増進に。
ナズナ(ペンペン草)・・・消化機能を整え、血圧降下に。
ゴギョウ(ははこ草)・・・煎じて咳止め、痰切りに。
ハコベラ(はこべ)・・・胃炎や胃弱に。
ホトケノザ(タビラコ)・・・打撲、筋肉、骨の傷み、四肢のしびれに。
スズナ(蕪)&スズシロ(大根)・・・消化促進に。
ちなみに秋の七草は食べません!
食して楽しむ春の七草に対して、秋の七草は花をめでて楽しむもの。よって食べる風習はないようです。
<秋の七草>
萩、尾花(すすき)、葛、撫子、女郎花、藤袴、朝顔(キキョウ)

「人日の節句」は「若菜の節」とも言われ、「君がため 春の野にいでて 若菜つむ わが衣手に ゆきは降りつつ」と百人一首にも歌われています。旧暦はいまの暦よりひと月程ずれるので、いまごろの時期に詠まれたのでしょうか。我が家も「七草粥セット」を買って1月7日の朝にいただきましたが、友人の買った「新七草粥セット」には、なんとカイワレやちんげん菜が入っていたそうです。


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