味彩通信
Vol.15-1999.6
さ・し・酢・せ・そ
梅雨に入り、雨の日が続くとなんとなく疲れが気になるこの時期です。そんな思いを吹き飛ばしてくれるのがお酢。お酢はどの家庭にもある調味料で昔から「からだにいい」といわれています。これはノーベル賞を受賞したクレ−ブス博士の学説「TCAサイクル」(クエン酸サイクル)でも証明されています。 今月は、いろんな力を秘めたお酢についてご紹介致します。

〜 お酒から生まれたお酢!〜

酢は世界中にあり、その原料は様々です。アジアでは主に米や小麦などの穀物からできた酢。欧米ではりんごやぶどうなどの果実からできた酢が主で、それぞれ風味の違いがあり好みや料理に応じて使い分けができます。 また酢は、お酒が酢酸菌によって発酵したもので、英語で酢酸菌のことを「ビネガーマザー」と呼ぶそうです。

◆ お酢の成分 ◆

・水分−−−−−−−−−−−−−−93%

・酢酸−−−−−−−−−−−−−− 4%

・その他有機酸(グルコン酸,クエン酸etc)-− 2%

・アミノ酸−−−−−−−−−−−−− 1%

◆ お酢の5大効果 ◆

1.防腐・静菌、殺菌効果
ご飯を炊くときに少量の酢を加えるといたみにくくなります。またお寿司屋さんが酢でまな板を拭くのもそのためです。

2.食欲増進効果
酢の酸味が味覚や臭覚を刺激し、脳の食欲中枢に働きかけます。また、酸味が唾液の分泌を促して胃の態勢を整え、胃液の分泌が多くなり消化を助けてくれます。

3.減塩効果
「いいあんばい(塩梅)」。これは塩味(塩)と酸味(梅酢)からとった言葉で、塩を梅酢で調味すると塩味がまろやかになって、少ない塩分で美味しくいただけるのです。

4.カルシウム吸収効果
酢には、肉を柔らかく煮たり、骨の中のカルシウムを引き出す力があります。また小魚やいわしなどお酢を入れて煮ると骨まで柔らかくなり丸ごといただけます。

〜 お酢ですっきり、
リフレッシュ!! 〜

酢の「すっぱさ」が苦手という方も多いのではないでしょうか。でも、あのすっぱさの主成分であるクエン酸に色々なパワーが隠されているのです。しかし酢に含まれるクエン酸はわずか0.2%、他のアルカリ性食品と比べても少ないのです。が、なんと酢の主成分である酢酸やその他の有機酸が体内でクエン酸に変身!そしてクエン酸が疲れの元である乳酸 を分解し、血液もきれいにして疲労を回復してくれるのです。そのパワーを立証したのが、長野オリンピックで金メ ダルを取ったスピードスケートの清水選手と、ジャンプの舟木選手。2人はクエン酸を飲用していました。また箱根駅伝で有名な大東文化大学。一時低迷の危機にありましたが、毎食の酢を使った料理の力で復活したそうです。


オリンピック選手達がお酢で身体のコンディションを管理していたなんて驚きでした。でもハードな練習の毎日、食事をする事で疲れがとれてくれれば一石二鳥ですよね。最近ではスーパーに並ぶお酢の種類も増えてきました。和・洋・中、料理によって使いわけ食卓をちょっとおしゃれに変身させるのもおもしろいかもしれません。お酢のパワーで家族みんな元気に過ごしましょう。
*参考文献:ミツカン「やさしいお酢のはなし」,池田書店
「お酢を使った健康料理」,ホームページ「クエン酸サイクル」,「あるある大辞典“酢”」




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